何か食べつつ急いでゐる

札幌発、子育てしつつ、食べ歩きつつ。

円山に住んで世界の縮図をみる夢をみた

住みたい街、札幌市円山

円山は地下鉄大通駅から東西線で3駅、札幌中心部の西側にある言わずとしれた高級住宅街です。

 

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私が「街」というものを意識したのは高校生の頃だったように感じます。

私は札幌の東区生まれで東区育ち、生粋の東区っ子だったのですが、進学のため北区の高校に通うことになりました。

そのせいで同級生は北区民ばかりだったわけですが、あろうことか北区民は我ら東区っ子のことを「田舎もの」「タマネギ(東区の特産)」呼ばわりして馬鹿にしてきたのです。

 

説明しておくと、北区東区って、大部分は南北に走る創成川を区界に西で分けられているんですよね。

北区だってあいの里とかいう辺境があるくせに、自分札幌駅北口ですよみたいなツラ下げて、タマネギ畑を揶揄してくるわけですよ。茨戸中沼どっちが都会だと思います?霊園タマネギ畑の戦い、五十歩百歩、どんぐりのせいくらべですよ。

それなのに高校という狭い社会の中で大多数が少数を迫害する数の暴力。たった一本の川を隔てた東側西側の分裂。なんとみにくい争いでしょう。

 

とはいえ、高校生は多感な時期ですから、散々周りからタマネギタマネギ馬鹿にされていると「あれ、もしかして私田舎ものなのかな…」とそのアイデンティティは崩壊してしまうもの。ついに私の東区の誇りはコンプレックスへと変わり、いつしか私は西側へ強い憧れと野望を抱くようになりました。

 

私もいつか、西側に住んでやるんだ、と。

 

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実際、札幌って西側の街の方がセレブですよね?

あっ、手稲はほぼ小樽だから除きます←札幌の鉄板ジョーク

 

だって、大雨洪水警報が出て真っ先にあふれそうでやばいのは東側(月寒川とか)だし、治安がどうこう言われるのも東側

 

一方、見上げてみれば高級住宅街を擁する円山にきらびやかな繁華街の琴似

 

そう、西側の地名は名前すらカッコいい。宮の森、宮の沢、宮の丘。宮、宮、宮。皇室でもお住まいになっていらっしゃるのかしら?

 

一方の東側はといえば、丘珠?伏古?かりき?ダサすぎ。かりきに至っては漢字変換すらされないぞバカヤロウ。地下鉄終点の栄町なんかパチンコ屋に吸収されたイオンと老人がいく病院しかないぞ。あと自衛隊駐屯地。全然栄えてないぞコンニャロウ。

 

 

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そういうわけで、私が就職して一人暮らしをするのに選んだ場所はもちろん円山でした。家賃は6万円くらいだったかな。1LDK、エアコン付き、お風呂にTVも付いた新築のデザイナーズマンション。

 

念願の円山暮らしはそれは楽しいものでした。美しい街並みに、オシャレな飲食店。行き交う人もどことなく小綺麗にみえたし、山が近くにみえるせいか空気まで澄んでいたように感じられました。これがセレブの世界。

 

そんなオシャレな街に住んでいることが嬉しくてたまらなくなって、母を円山に呼びだしてランチをご馳走することにしました。ここぞとばかりに選んだのは、雑誌の円山特集に載っていた、円山裏参道にあるオシャレなイタリアンレストランoggi。写真は当時のブログから。

 

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このパスタとデザートが本当に絶品で、母と2人カウンターで並んで、円山にはこんなにお洒落で美味しいお店が沢山あるんだね、また来ようね、と約束したものです。今でも忘れられない思い出のお店です。

 

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そんな感動的なお店との出会いもありつつ円山生活も慣れてきた頃、調子にのってきた私は社内で円山に住む人をかき集めて円山会という飲み会を企画しました。場所はリゾット専門店。意識高すぎ。

そういえば、西側の人達って何かと自分達が住む街の名前をつけて集まりがちで鼻につくなあと思っていたけれど、住んでみてその理由が分かりました。

 

優・越・感。

 

なるほど、こうして西側は泡(イタリア産)を片手に高みの見物をしていたわけか。ああ東側のやつらが発泡酒コロワイド産)もってばか騒ぎしているぞと。そりゃその子供たちがタマネギタマネギ馬鹿にしてくるわけだ。こうして歴史は繰り返すわけだ。冷戦が終わらないわけだ。

 

世界の縮図をみた気がしました。

 

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そんな円山生活も2年の月日が経ち、結婚を機に引っ越すことになったのですが、

転居先を探していた頃、東側のさらに東の方に住む同僚が「うちの家賃18,000円だよ(笑)」と言われてハッと気づいたのです。

 

ウチの駐車場代、22,000円…。

今の家賃と駐車場代合わせて8万ちょっと。もっといい部屋に住めるんじゃない?と。

 

我に帰って顧みすれば、円山での生活がまんま夢を見ていたようでした。仕事終わって少し遠回りして1つ300円もするクロワッサンを買って帰る夢。すすきのでわざと終電逃して歩いて帰ってくる夢。あの美味しかったレストランも…あれも夢…?

 

 

夢から覚めた私は、生まれ育った街、東区に戻ってきたのでした。8万ちょっとで駐車場付き2LDK新築マンションを借りられました。

事件を起こした犯人が現場へ戻ってくるように、鮭が産卵のために生まれた川へ戻ってくるように、生きとし生けるものは戻るべくところに戻るものなのでしょう。なんだかんだ、生まれ育った馴染みある街が1番なのでしょう。

 

東区 、いいじゃないか。

今度東区役所前を開催しよう。語呂わる。かりきだってちゃんと変換してあげよう。ごめんね雁来伏古だってあの伏見とたった一文字しか変わらなくて双子みたいじゃない。丘珠?ええと、きみのいいところはだね、うーんそうだな…

 

 

…とはいえ、今あらためて「住みたい街は?」と聞かれたら、やっぱり円山です。

 

ギャンブルで勝つと一度やめてもまた戻ってくるように、あるいは田代まさしのように、甘い経験というものは簡単には忘れることはできません。あわよくばまた円山に住みたい。

 

そういえば、このお題を書くにあたってoggiという思い出のレストランを調べてみると、もうお店は閉じていましたが、同じシェフが同じ場所でお店を開いていたことがわかりました。

1600円ほどで食べられたかつてのお店は、今や北海道ミシュランで星を獲得された超一流高級レストランとなり、食べログによると平均予算は15,000円とのことでした…!

 

さすが円山。夢を見させてくれる街。

 

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書籍化記念! SUUMOタウン特別お題キャンペーン #住みたい街、住みたかった街

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by リクルート住まいカンパニー